今度は、大きな渋柿を丸ごとベランダに吊るしています。
皮を剥いて殺菌のため熱湯にくぐらせること30秒。注意深くへたにひもをくくり付けて。
日に日に縮んでいく様子は毎日みてもあきません。手で押さえて中の硬いところがだんだん柔らかくなっていくところが、スライスして作っていた時にはなかった感覚です。
その感覚は、患者さんの穴を探す感覚に似ています。触れることで、表面の状態と湿り気を感じ、押すことにより中身の充実と空虚具合を想像します。日光と乾燥での柿の変化、人の皮膚面の変化と合わせて考えてみました。
あれほどの柿の縮み具合は、皮膚でも同じことが起こっているはずです。衣服に包まれている分、乾燥は避けられています。顔や手という露出部分は、ベランダの柿状態ということ。寒い時のエアコンの部屋の中でも同じかそれ以上のことが起こっています。
のどが渇く、のどのひりひり感、ドライアイ、皮膚の乾燥。内臓にあっては、臓燥(ぞうそう)という形で病脈がでます。
室温、湿度を常にチェックをしてエアコン、加湿器をつけ、白衣の色を、乾燥に強い紺色にしてはり治療を行っています。
渋柿は、皮の内部まで柔らかくなるのにあと2週間はかかりそうです。一個一個中の状態を確かめ最後の硬いところが無くなる触感を楽しみながら揉んで柔らかくしていきます。
柿を通して燥の季節に身をおく人間の養生のありかたを考えさせられました。