不老長生のお話

「今から二千年以上前、前漢時代に書かれた東洋医学の古典「黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)」に次のような文が載っています。

「上古の人の中に真人なる仙人がいました

天地の大道を把握し 陰陽の法則にのっとり

宇宙の精気を呼吸し 何者事にもわずらわされず

生命力を維持し 心身ともに天地の運行に溶け込む

寿命は、天地と同じくらい無窮であります

 

中古の人に至人なる仙人がいました

徳が厚く天地の大道にかない 陰陽の法則にのっとり

春夏秋冬の天の運行に調和し

世俗を離れ深山にいて宇宙の精気を吸い蓄え

生命力を完全に保有 宇宙の間を思いのまま遊行し

この世の隅々まで見聞することができました

修養により天与の寿命を引き伸ばし生命力を益しました

 

近世に聖人と呼ばれる人がいました

春夏秋冬、昼夜の天地の運行に調和し

各季節に吹き来る風の正邪の理を弁え邪風にあたることなく

欲望は世間並みに抑え 心静かにして怒りをおこさない

行動も世を捨てることなく凡人と付き合い

人並みに衣服冠をつけても行動は俗に流れることはない

肉体的には過労になることを慎み

精神的には喜怒哀楽に心を翻弄されることがなく

あっさりとした楽しみに満足する

決して無理をしない

百歳以上の寿命がありました

 

今世に賢人と呼ばれる人がいました

春夏秋冬の天地の運行にのっとり

天文暦数を心得

陰陽の変化に生活態度を調和させ

四時の正邪の風を区別して邪気にあてられないように注意して

上古の真人を真似て 養生の道を習得する

しかし、賢人は真人のように仙人として天地と共に無窮に生きてはいけません」

 

私は、上古の真人、中古の至人、近世の聖人は無理でも、今世の賢人なら近づくことができるかもしれないと考えました。

「春夏秋冬の天地の運航にのっとり天文暦数を心得て、陰陽の変化に生活態度を調和させ、四時の正邪の風を区別して邪気にあてられないように注意し、養生の道を習得する」

今世の不老長生の方法が解かれています。

私は、はり治療に40年以上携わって来ました。四季の変化に患者様の体調に合わせるはり治療を行い、その都度養生法を教えています。賢人に近づくには、春夏秋冬と皆様の衣、食、住、身体、精神など多方面の調和を第一と考えます。はり治療もその一役を担っているのです。

人生百年時代。人瑞と言われる百歳長寿の誉れは、養生を踏まえて確固としたものになると思います。皆様の元気で輝く日々が、旧暦生活をもとにこれからもずっと続きますように。

 

 

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